JEFASとは?

20年前のちょうど今頃、私たちはリーズ城の果てしなく続く新緑の中で言葉を無くしていました。英国に暮らした時随分いろいろなお庭を巡ったつもりでしたがここはそのどことも異なっていました。どのように表現すればこの感動が伝わるのか?でも言葉にできないでいるというのが現実でした。

その3年後の1996年三越日本橋本店でのイベントでポーラ・プライクを招聘することができました。そのころ毎年行っていた英国でのサマースクールでポーラのスクールを訪れていたので彼女がご自分の著書に「次回は日本で会いましょう!」とサインをしてくださった時の感激は忘れることができません。

2000年の英国とフランスで行ったウィンタースクールでの出会いでシェーン・コノリーを2002年に東京・青山にお招きすることができました。

レッスンを受けたいという私たちのために彼はご自宅に招いてくださいました。
ケネス・ターナースクールのトップデザイナーシャーロンも遊びに来てくださって再会を喜びあいました。シェーンがロイヤルウェディングでウィリアム王子とケイト妃のフラワーコーデュネートをされたことは私たちの誇りであります。
1996年三越日本橋本店での私のデモンストレーションを見に来てくださった逸見晴恵さんが実は素晴らしいアーティストでお花の絵を沢山描いておられました。

その絵から得たインスピレーションでブーケやアレンジを私が作ってイベントをすることになりました。JEFAS 10周年のイベントは逸見晴恵さんに名実ともに「花を添えて」いただきました。

2005年日印協会の招きでインド・バンガロール。2006年は在英日本大使館のご後援をいただき英国ロンドンでデモンストレーションとフラワーショーを開催。

この間5冊の著書を出版しポーラ・プライクの本の日本語監修をさせていただきました人生の目標の10冊まであと4冊です。頑張らなくては!!!

思えばこの20年はあっという間でした。悲しいことに逸見晴恵さんや漆作家の川瀬表完先生、淡交社の北村部長が鬼籍に入られました。イベントやサマースクールでの出会いを思い出すたびに「一期一会」の言葉が頭をよぎります。素晴らしい方々と出会えた事に感謝するとともにこれからの新しい出会いを大切にして心に残る時間を共有していきたいと思います。今秋のオータムスクールでまた新たな1ページをワクワクしながら増やせることを楽しみにしています。

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ

2013.04.01

HIDEの桜

ストロベリー・ナイトという映画が封切られた翌日テレビドラマの主題歌である「ミセナイナミダハ、きっといつか」を作られたgreeeenのHIDEのお母さまことマダム・ローズがお越しになられた。

「昨日映画封切りでしたね!」というお話をしながら福島の三春滝桜(みはるたきざくら)のことになった。東日本大震災の前年HIDEがご結婚された記念にお母さまにこの桜の苗木をプレゼントされマダム・ローズは大切に植木鉢で育てておられたというお話をお伺いした。しかし3年近くなると桜も鉢が狭そうでどこかに移してあげないといけないといつも気にかけておられたとの事。

その行き先が決まったという嬉しいお話。
ところで話は変わるが被災地を応援するために福島・宮城・岩手の商品を扱うコーナーが京福嵐山駅にありマダムローズは福島のHIDEご夫妻のことを思いながらいつも立ち寄っておられたそうだ。そのうち販売スタッフの方とも親しくなられある日、HIDEの桜の話をされたらスタッフの方が是非嵐山にその桜を植えようという提案をされそれが今年の3月11日に実現したそうだ。

今秋のイベントでは福島からもたくさんの花仲間がお越しになる予定である。
彼女たちにぜひ福島と京都の絆のシンボルであるこの桜を見ていただきたい。

八重の桜ならぬHIDEの桜がきっと来年は嵐山で美しく咲いてくれるだろう!
来春はその桜を見るツアーを企画したい。
「花も団子も!」の欲張りな花仲間と見に行けることを今から楽しみにしている。

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ

あけましておめでとうございます。
私たちの日英フラワーアレンジメント協会も今年20年目無事成人式を迎えることができました。
今の日本では10年続けられる会社は設立された会社のうち1/10しかないそうです。
そのように考えますと20年間続けてこられたのはメンバーの皆様方のご協力があってのこと感謝の気持ちで一杯になります。私の座右の銘は「継続は力なり」なのですがこういった節目には続けてこられた事の喜びを強く感じます。

ところでヘレンケラー女史は次のような言葉を残しておられます。

世界で最も素晴らしく 最も美しいものは目で見たり手で触れたりすることはできません。
それは心で感じなければならないのです。

この言葉と出会った時深く感動し反対に
「目に見えるものの中で最も素晴らしく最も美しいもの」それは何だろう?と考えました。
その結論が私の場合は「花」でした。
協会のメンバーの多くもお尋ねしたらきっと同じように答えてくださる気がいたします。このように価値観が似ているメンバーが集まってくださったことが長く続けてこられた秘訣であったと思います。

今年は10月に英国から多くのセレブをクライアントに持つフラワーデザイナー「ジェイミー・アストン」を迎えて記念イベントを企画しています。 彼のデザインする「世界で最も素晴らしく最も美しいもの」を見るためにぜひ皆様京都に足をお運びください。

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ

ブルーボネットというマメ科の可愛らしい花をなぜ彼女がスクール名にされているのかずっと不思議に思っていました。

その理由を伺うことができたのは最後に彼女に会った時でした。

危篤のご連絡を頂いて駆け付けた私に気丈な彼女らしくはっきりとした意識の中で様々な事を話して下さいました。今から思えばそれは彼女がお亡くなりになる二日前だったのですが彼女の会話は完璧に聞き取ることができました。ご主人とお暮らしになったテキサスでの生活が幸せで楽しくその州花をスクール名にしたというお話でした。

11年前に初めて大分で出会った時「どこかでお目にかかった気がしますね?」とお尋ねしたことを今も思い出します。彼女は「いいえお目にかかるのは初めてです。」とさりげなくお答えになりました。数年前のある雨の強い日に「確かこのような日に彼女と会った!」という記憶が蘇りその記憶をゆっくり解いていくとフランス語を一緒に学んでいた友人のお顔が浮かびました。

お尋ねするとその友人は彼女の従姉で30年近く昔のある雨の強い日に私は彼女のご実家に友人と一緒に訪れていたのでした。

人との出会いを思うとき何か偉大な力に導かれている気が致します。

それは「あの時こうしていなかったら会えなかった」というものではなくどのような選択をしても必ずご縁のある方には出会えるということです。その確信を最近になって持つようになりました。

「サロンに行きたい!」というメールをいただきながら時間が取れなくて「それでは次の機会にね!」とお話ししたことを今も悔やんでいます。生きるということはそのような悔やむ気持ちを心のどこかに感じながら日々を過ごしていくことかもしれません。

彼女のご冥福をお祈りするとともにこの秋アメリカに留学されたご長女と来年オーストラリアに留学される妹様二人のお嬢様の今後のお幸せを心からお祈りいたします。

それが彼女の何よりの願いでもあったと私には思えるので・・・・・

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ

「インドの多くの地域における古代遺跡の発掘はインド社会に影響を与えた仏教文化の様々な側面を明らかにしています。

なかでもインドのオリッサにおける発掘が仏教の伝統の確かな側面を明らかにしたことは興味深いことです。私はオリッサの写真集が出版されたことを大変嬉しく思っております。そして多くの方々が本書の神髄を味わわれることを確信しております。」

―ダライラマ14世―「インド・オリッサ」ダライラマ14世「序」より

猊下のお言葉を頂いた写真集がやっと形になった。
仏師である長谷先生と夫が5年の年月をかけインドに行き写し続けた石仏の数々。
11年前の約束通り猊下からお言葉を頂く事が出来た。今や5年ひと昔という時代にとてつもなく長い時間を経てこの本は仕上がった。
しかしこの時代に出版されたことも私には偶然とは思えない。日本の仏様とはまた異なる美しさに魅了されてしまう。心が癒され日常の雑事が一瞬間遠のく。1200年以上の時を経てこの多くの石仏と出会えた事に改めて感動してしまう。

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ

2012.01.01

2012年を迎えて

『私の周りの大切な方々が今日も一日穏やかで心静かに過ごせますように!』あの春の日以来、世界遺産の下鴨神社で毎朝お祈りする言葉がこのように変わりました。

何年か先の話ではなくとりあえず今日一日平和で幸せでいていただきたい。

被災地からレッスンに来られる方やご実家が被災された方。誰一人グチも泣き言もおっしゃいません。それだけに彼女たちの背負っておられる物の多さを感じて切なくなります。祈ることしかできない自分の微力を責めたくなっていた時素晴らしい出会いを神様は用意してくださっていたのです。

それはダライラマ14世との出会いでした。昨秋初めてお目にかかるチャンスに恵まれました。彼は2歳でダライラマの後継者として見出され5歳で故郷を追われてインドで暮らすことになられました。「しかしそのお陰で私は世界中に友人を得ることができた。」猊下(げいか)の言葉にネガティブな表現は何一つありませんでした。
最後に「理想の人物像」として猊下が語られたのは表裏のない透明感のある人間でした。

過ごせますように!』あの春の日以来、世界遺産の下鴨神社で毎朝お祈りする言葉がこのように変わりました。

何年か先の話ではなくとりあえず今日一日平和で幸せでいていただきたい。

被災地からレッスンに来られる方やご実家が被災された方。誰一人グチも泣き言もおっしゃいません。それだけに彼女たちの背負っておられる物の多さを感じて切なくなります。祈ることしかできない自分の微力を責めたくなっていた時素晴らしい出会いを神様は用意してくださっていたのです。

それはダライラマ14世との出会いでした。昨秋初めてお目にかかるチャンスに恵まれました。彼は2歳でダライラマの後継者として見出され5歳で故郷を追われてインドで暮らすことになられました。「しかしそのお陰で私は世界中に友人を得ることができた。」猊下(げいか)の言葉にネガティブな表現は何一つありませんでした。

最後に「理想の人物像」として猊下が語られたのは表裏のない透明感のある人間でした。

心の中に他者に対する思いやりを持つことで自分自身が豊かになり自分を幸せな方向に持っていくことができる。とお話になられました。日本にも『情けは人のためならず』という言葉がありますが人のために思う気持ちが実は自分自身を育てているのだと改めて確信いたしました。

また猊下はこうもおっしゃいました。

「その人が信じられる宗教がその方にとって一番よい宗教。」「この宗教でなくてはいけない!」という布教活動をする方が多い中で益々ダライラマ14世に魅せられてしまいました。お目にかかった翌日被災地に行かれると仰っていましたが彼の愛で救われた方がお一人でも多くおられたことを祈らずにはいられません。言い古された言葉ですが人を思いやる気持ちに国境は無いのです。

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ

黄色いフリージアの花を見ると日本でフラワーアレンジのレッスンを始めた日の記憶が蘇る。
日本の雑誌で紹介されたリバティデパートでのフラワーショーの記事を見たお花屋さんの男性スタッフが習いに来てくれたのだった。渡英前から教えていた、テキスタイルフラワーのスタジオで女性に混じって彼はフリージアのコサージュを器用そうに仕上げた。
冬のロンドンの露天のフラワーショップの最前列に必ずフリージアがあった。冷たい風に吹かれながら負けずに蕾を膨らませる姿はともすればくじけそうになる私の心を何度も励ましてくれた。
日本に戻って英国で学んだフラワーアレンジのスクールをスタートする時はこの花を最初に使おうと決めていた。もうひとつ心に決めていたことがあった。それは恩師のMiss.Englishから贈られた言葉を守り伝えていくことだった。日本だと考えられないお名前だがこれは恩師の本名だった。
フラワースクールの卒業式の後みんなでパブに行った。十代の同級生はコーラやオレンジジュースを飲んでいたが私たちはギネスで乾杯した。誰かにご馳走したりしてもらったり。その賑やかな中で恩師は声をかけてくださった。
「あなたが日本に戻って花の仕事をして何か私を必要とするときはいつでも力になるから言ってきてね。」
その言葉のとおり「スタッフをイギリスのフラワーショップで研修させてあげたい」とお願いしたときは王室御用達のお花屋さんを紹介してくださった。
その後ロンドンのフォーシーズンホテルのフラワーショップで責任者をしておられて渡英するたびにお伺いした。その時々ロンドンで流行っている花の情報を聞かせてくださった。数年前のベッカムの結婚式の時はこの雑誌にブーケが出ているという事まで教えてくださった。
何かを強いたりすることは一切無く必要な時に力になって下さる。私は自分もそんなスタンスでスクールを展開したいとずっと願っていた。様々な事情でお目にかかれなくなってしまった方もいらっしゃるけれどその方たちにお伝えしたい。
「花のことであなたがわたしを必要とするときはいつでも力になりたいと思っていますよ!」
Miss.Englishがいつもそう言い続けて見守ってくださってきたように。

2011.07.05

vol.56 緑の響宴

様々に重なる緑の美しさを思うときいつも蘇るワンシーンがある。ロンドンのBBCの近くのフラット。窓の外にはその部屋に立つ人物を引き立てるような緑。淡いシダの色、濃い緑のアイビー・ハニーサークル・・・・フラワースクールで学んだすべてのグリーンがそこにあるような気がして一色ずつ葉の名前を思い出していた記憶がある。

ここはロイヤルウェディングを手がけたシェーン・コノリーのご自宅。レッスンを受けたいという私たちのために彼は自宅に招いてくれたのだった。クリスマスローズ・においスミレ・バラその甘い香りとマジシャンのような手さばきを見ている私たちはまるで酔っているかのようだった。

「ブーケを作る一番大切なことは花のコンディションをブライダルの当日に最高の状態に持っていくこと!」彼のその言葉の通り花たちは完璧に美しい状態だった。

一輪の花も無駄にせず大切に慈しんでアレンジする彼がこの時代のロイヤルウェディングのフラワーデザイナーとして選ばれたことは当然といえば当然なことだったと思える。

偶然にも彼は私と同じロンドンのフラワースクール出身者だった。あのころ学校では月曜日に大きなアレンジを作り翌日は花束、水曜日はテーブルフラワーという風に少しずつ短く使っていき週末はドレスフラワーにして持ち帰った。

アレンジを学ぶのと同じ比重で花を大切に飾り続ける術を学んだ。

校長先生が伝えたかった事を一緒に学んだ花仲間が守り続けている。

無駄にしないのは仕上がったアレンジも同じだ。

「ノブレス オブリージェ」身分の高い人やお金持ちはそうでない人を助けるという考え方は深く浸透している。ブライダルで使われた花も再利用されそうした形で多くの人々に贈られたそうだ。

改めて彼の庭の美しさを思う。そのような形で命を与えられ大切に育まれた緑があの空間で幾重にも色を重ねていたのだ。ロンドンの厳しい冬にも負けずにその色を保っているグリーン。その姿は訪問者の私たちにはまるで緑の響宴のように感じられた。

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ

巻頭エッセイを書きました時に、このような現実が襲うとは思ってもみませんでした。ニュースを見て何度も涙いたしました。それにしても被災された方々の忍耐強い姿…。同じ日本人として、誇りを覚えました。頑張るのではなく今日一日を何とか大切にお過ごしください。その先に明るい未来が見えてくることを信じて。
かわべやすこ

Dear Yasuko and Yuriko
I have been deep saddened by the tragic events in Japan. With so many friends in Japan and having visited the area of the earthquake and tsunami,I feel a personal sense of grief. However, that is nothing compared to what it must be like for people who have lost their loved ones, their homes and their businesses.

I hope it is some comfort for you to know that people all over the world are thinking and praying for you. As I don’t have many people’s e-mail addresses, please pass on my thougts to my past students and anyone who knows me.

with my very best wishers to you. your families and all my friends in Japan.
Ercole

親愛なるやすこ先生、ゆりこさん
日本おける痛ましい被害に心をいためております。日本にいらっしゃいますたくさんのお知り合いの方々や訪れたことのある場所を思うと、地震と津波での被害に、私個人、深い悲しみを感じます。被災された方々は、愛する人、愛する家、そして仕事を無くされたことに、私は何をすることもできませんけれども、いま世界中の人々が、皆さんが早く安らげることを思い、祈っています。私は多くの方にメールを送ることはできませんので、私の以前の生徒の方々、私を知っていらっしゃる方々に私の思いをお伝えくださいますようにお願いいたします。皆様を始め、皆様のご家族、日本にいる私の多くの友達、どうぞお元気でお過ごしください。
エレコレより。

お花が皆様の癒しになりますように願っております。もし、JEFASでなにかお手伝いできることがありましたら、事務局までお知らせ下さい。

今から十年前ちょうど今のように桜の美しい季節にダライ・ラマ十四世が京都にお越しになられました。その際光栄にも、宗教雑誌の仕事で夫が猊下を撮影させていただきました。

ライフワークとして撮り続けているインドの石仏の話をさせていただいていたところ「本にするときは推薦文を書いてあげましょう!」というありがたいお言葉を頂いたそうです。十年という時の流れと共にそのようなお話を頂いたことも私の記憶の中では殆ど消えていたのですがようやく本の形になりつつある昨年その推薦文が届きました。暖かい思いやりの溢れた文面に改めて猊下の器の大きさを感じました。

ある雑誌で猊下はこう仰っています。
「苦しんでいる友の肉体的な苦痛を消すことは出来ませんが人の心の痛みを受けとめ分かち合うことは出来ます。思いやりで人の痛みを消し去ることはできません。しかし小さな慰めをもたらすことは出来るはずです。」

辛い立場の方のお話をお伺いしても「何もしてあげられない!」と自己嫌悪に陥ることがあるのですが、この言葉を頂くと少し自信が湧いてきます。相手を想う心を伝えることで微力ながら誰かを支えることが出来るような気がします。

そのような自分の中の可能性に気付かせていただけたことを感謝するとともに石仏の本の仕上がりが待たれてなりません。

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ