2011.04.04
vol.55 十年前の約束

今から十年前ちょうど今のように桜の美しい季節にダライ・ラマ十四世が京都にお越しになられました。その際光栄にも、宗教雑誌の仕事で夫が猊下を撮影させていただきました。

ライフワークとして撮り続けているインドの石仏の話をさせていただいていたところ「本にするときは推薦文を書いてあげましょう!」というありがたいお言葉を頂いたそうです。十年という時の流れと共にそのようなお話を頂いたことも私の記憶の中では殆ど消えていたのですがようやく本の形になりつつある昨年その推薦文が届きました。暖かい思いやりの溢れた文面に改めて猊下の器の大きさを感じました。

ある雑誌で猊下はこう仰っています。
「苦しんでいる友の肉体的な苦痛を消すことは出来ませんが人の心の痛みを受けとめ分かち合うことは出来ます。思いやりで人の痛みを消し去ることはできません。しかし小さな慰めをもたらすことは出来るはずです。」

辛い立場の方のお話をお伺いしても「何もしてあげられない!」と自己嫌悪に陥ることがあるのですが、この言葉を頂くと少し自信が湧いてきます。相手を想う心を伝えることで微力ながら誰かを支えることが出来るような気がします。

そのような自分の中の可能性に気付かせていただけたことを感謝するとともに石仏の本の仕上がりが待たれてなりません。

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ