JEFASとは?
2016.10.01

古い小さな家

essay1610 梅雨のはざまの青空の美しい日にJEFASのメンバ―が今回も15名、日本を後に英国サマースクールに旅立った。30年続けてきたサマースクールは正に英国のフラワーアレンジメントの歴史そのものだ。

アレンジの移り変わりからフラワーデザイナーの人生が垣間見える。その最たる方はシェーン・コノリーだろう。エリザベス女王御用達としてこの十数年で英国でも不動の地位を築いた彼。そんな彼からのメールに「これからもずっと続けてほしい。僕が小さな古い家で教えたあの時からの長いお付き合いだから」と書かれていた。

王室といえばスウェーデン王室の仕事をしてこられたケネス・ターナーの右腕として活躍するシャーロン・メルヒもロンドンのホテルに会いに来てくださった。想いが重なり30年来の夢のプロジェクトを彼女とスタートさせることになった。最後のつもりのサマースクールが実は様々なスタートになった。来年の今頃再びワクワクしながら2018年のサマースクールの準備を始めていることだろう。

英国サマースクールとの決別は今しばらくできそうにない。

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ

2016.04.01

花仲間と共に

essay1601 「花のない生活は暗くて寂しい。YASUKOの花は希望と光にあふれている。」
こんな文章で始まるメッセージを英国王立美術大学の主任教授をされていたProf. Roger NICHOLSONがリバティデパートでの作品展の際にお贈りくださいました。バーバリーのタータンチェックのカラーコーディネートを依頼されるような立場の方でした。

 花の溢れる季節になるとこの言葉を思い出します。
英国を代表する画家ターナーは生涯でただの一度も花の絵を描かなかったといわれています。それは彼の人生が孤独で厳しいものだったからだそうです。
花と共に暮らすことができる私たちはいかに神のご加護を頂いているのかと感謝の気持ちで一杯になります。

 花と関わって日々暮らすことも幸せですが花が好きな仲間と共に過ごす時間も格別です。3月の松本のイベントを大盛況のうちに無事終え6月英国でのサマースクール
同じく6月30日に京都でアフタヌーンティー&ミニ英国報告会、12月1日(木)には京都で英国の最新情報をデモと画像でご覧いただくイベントを企画しています。

 何物にも替えられない花や仲間と集える時間を楽しむためにお一人でも多くの方にご参加いただけることを願っております。

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ

essay1601 新しい年をお迎えになられ「今年こそは!」と目標を掲げられたのではないでしょうか?
英国で暮らしていた時に日本人と英国人の感覚の違いに驚くことが多々あったのですがこの「新年の目標」に関してもそうでした。

 それはリバティデパートのクリスマスイベントが終わりディナーを食べ終え快い疲労感に浸っている時に、親代わりをしてくださっていたロジャーが「YASUKO次の目標は何?」と尋ねられたのです。彼らが目標を立てるのは年月の節目ではなく達成した時なのだとこの時に初めて知りました。

 振り返ると渡英した年に最初の目標であるフラワースクールの認定書を取得し2年目と3年目にリバティとハロッズで行ったイベントで2つの目標は達成されました。

 残されたもう一つの夢は日本から花仲間を連れて英国でのサマースクールを行うことでした。その話をしたとき彼はSusieという一人の英国人女性を紹介して下さいました。彼女はグリーンや花に造詣が深く何より人脈が広く一般では宿泊できないリーズ城でのサマースクールを実現してくださったのです。

 時の流れは速いものであの日から30年。こんなにも長く楽しく続けてこられたのは花仲間のお蔭だと感謝しています。しかし今年のこの旅を一つの節目にしようと考えています。

 そんな私に天国から又ロジャーの声が聞こえてきそうです。
「YASUKO次の目標は何?」と。

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ

essay1510 控え目だけど存在感があり、たった一輪でも絵になる。

 私の持つラナンキュラスのイメージ。この花を初めて見た日のことは半世紀近く前のことなのにはっきりと覚えている。出会いが印象的な方とはその後ご縁が深くなることが多いが花も同じだ。出会った時からずっと気になっている大好きな花。
 昨年出版した「京都・ロンドン花物語」の表紙をどうするかという話になった時にラナンキュラス以外にどの花も思いつきはしなかった。

 日本中が毎日のように最高気温を更新していた今年8月の上旬、松本のフラワースピリットの上條信太郎氏をお訪ねした。最近のラナンキュラスがずいぶんグレードアップしていると思っていたがそれは影武者であるカリスマ上條氏の存在のお蔭だった。世界一のタイトルを何度も取っておられ、私たちが花の箱を開ける度に驚愕するような美しい花を届けてくださっているのだ。その花を日英フラワーアレンジメント協会の花仲間に見せてあげたいという切なる願いを受け入れて下さり来春松本でのイベントが叶った。京都でのシャンソンとバラのオータムスクール・松本のスプリングスクール・今回が最後になる英国でのアーリーサマースクール。
楽しいイベント山積み! みんなでワクワクできることが今から楽しみだ。

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ

essay1507 梅雨明けが待ち遠しい昨年の今頃サマースクールで英国に滞在していた。その際お世話になったシェーン・コノリー氏がエリザベス女王のバイアポイトメント(王室御用達)になられたことはロイヤルベビーの誕生と同じくらい嬉しいニュースだった。

 ロンドンのフラワースクールで学んだ日々が今も色あせることなく輝き続けていることは王室との関わりが大きい。アン王女のためにデザインされたブーケを見せていただけたり、ダイアナ妃が受講を予定されていた学校の春のコースのことを耳にするだけで幸せに思えた。

 サマースクールで招いてきたフラワーデザイナーたちも、その殆んどがロイヤルファミリーのお仕事をされていた。以前英国のサマースクールでワークショップをしてくださったラッセル氏はデモで仕上がった作品を見せながら、この作品をチャールズ皇太子が法外な価格で2点お買い上げくださったという話をしてくださった。王室はそうして多くのアーティストを育てているのだと思った。シェーンがこれからエリザベス女王にどのようなアレンジをお作りになるかと考えるだけでワクワクしてしまう。益々英国から目が離せない。

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ

essay1410 明けましておめでとうございます。お元気で新年をお迎えになられたことと思います。

 昨年は「かわべやすこの京都・ロンドン花物語」の出版、出版記念パーティ、英国サマースクール、下鴨へショップの移転と目まぐるしい1年でした。新しい店で風を感じたり空を見たりする空間に身を置いている幸せを今更ながら感じています。何より嬉しく思えることは世界遺産の下鴨神社の空気をいつも感じていられることです。神社と言えば日本で三本の指に入る古い神社と言われている奈良県の石上(いそのかみ)神社に初めて行ったときその気の流れの気持ちよさに心癒されました。

 奈良から20年近くレッスンに来られているブルーベルの岡崎さんに石上神社のお話をしたら彼女はそこの装花をずっとされていることがわかりました。もうお一人奈良から通ってくださる方にお薦めの神社としてご紹介したら彼女のご自宅はそのすぐお近くだったのです。

 いつものことながら何か目に見えない偉大な力に導かれ助けられているような気がいたします。

 初詣から始まって初ゑびす、節分、御手洗(みたらし)祭りと毎月のように京都の様々な神社を訪れ下鴨神社に日参するのは私の場合は信仰心というより神社に行くと心地よさを感じるからです。しかし昨秋福島の花仲間と下鴨神社を訪れる機会を持てたときの感動は忘れることができません。神様が私のお願いを聞いてくださったと実感いたしました。毎朝福島の彼女たちの心の安らぎをお祈りしていたからです。

「大変な時はお互いに相手を思い祈ることができる。」
そのような皆様方と大切なお時間を共有できる幸せを思います。どうぞ今年も宜しくお願い致します。

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ

essay1410 まるで故郷に帰るようにリーズ城を訪れ癒しの時間を過ごしてきました。

 いつ行っても同じように迎えてくれる場所があることを改めて幸せに思います。

 今年のサマースクールではシェーン・コノリー氏がデモンストレーションをしてくださいました。かつて彼の本で見たテーブルガーデンのアレンジが忘れられなくて今回はそのデモンストレーションをお願い致しました。彼はロイヤルウェディングでウィリアム王子とケイト妃のフラワーコーデュネートをして有名になられた方です。

 レッスンの最初にアドバイスをしてくださいました。「最近はウェブサイトを使って『自分が!自分が!』と前に出よう。出ようとする人が多くいるが信念を持って 花の仕事を続けていくことで必ずチャンスは訪れるのだ」と。14年前小さなご自宅でひっそりと教えて下さった彼が今大きなオフィスを持ち成功された姿はその言葉を裏付けるものでした。驕ることなく誠実に過ごしてこられた足跡を感じました。

 その彼がこれからお庭をイメージするデザインをしていきたいしブームになっていくだろうと語ってくださいました。それは私の思っていることと全く同じでしたのでとても嬉しく思いました。英国の庭の歴史を調べるとかつてはガーデナー(庭師)が庭から摘んだ花を飾ったという時代がありました。これからはフラワーデザイナーが庭をデザインして部屋やテーブルを飾る時代が来るのではないでしょうか?英国のガーデンとフラワーアレンジメントの世界はいつの時代も近づき重なり融合しています。

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ

2014.07.01

出版に寄せて

ヒマワリが似合う季節になりました。もう3か月前の事になりましたが今春、満開の桜の中で無事出版記念パーティをさせて頂くことができました。
全国からお越しいただきました皆様方に心よりお礼を申し上げます。

本を出版するということは歩み続けてきた人生の中でふと立ち止まるという行為に似ていると思いました。
歩いている時は見えなかった景色や日常の雑事に流されて心に引っかからなかったこととじっくり向き合うことができる貴重な時間でした。エッセィに登場して下さった方々や同時代に夢を語り合った友人には是非見ていただきたいと思い本をお送り致しました。

英国でずっと親代わりをしてくださったニコルソンご夫妻はもう鬼籍に入られましたが妹様から「ずっと二人の事を忘れないでいて下さってどうも有難う」というお電話を頂き「忘れることは無いですよ!一生忘れることはできません!」と思わず叫んでしまいました。
安曇野の絵本美術館の酒井館長からはうっとりするほど美しい文字で書かれた絵本のような優しいお手紙をいただきました。
東京のボスからは「10冊と言わず20冊まで頑張りなさい。」というメールをいただきました。以前彼は私が書いた見積書を見て「こんな金額は安すぎる。この2倍の予算を取ってあげよう。そのかわり海外での勉強は続けなさい。」というアドバイスをくださった方です。
お母様の介護を永年にわたり続けているかつてのスタッフからは「旅行に行けない私だけど本を読んだ後どこかの旅から戻ってきたような気がした。」とお手紙をいただきました。キラキラの感性は昔のままでした。

それぞれの人生の大切な時間をわたしの本を読んだり眺めたりして下さるために使ってくださった。ということが何より嬉しく思えます。改めて感謝の気持ちをお伝えさせて頂きます。本当にありがとうございました。そしてこれからも宜しく。
何年後かの8冊目の出版記念パーティをどうかお楽しみに!

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ

2014.04.01

英国の桜

桜の季節になると心配が増える。雨が降ったり風が吹いたりすると花の事が気になり祈るような気持ちになってしまう。何の心配もなく見ることができる桜があればどんなに良いのだろうとずっと考えていた。
英国に暮らして初めての春、桜を見て驚いた。何か月も咲き続ける強くたくましいかつて願った通りの桜なのだ。
その頃毎週ウィンブルドンにフラワーアレンジを教えに行っていた。そこのお家の桜が私は大好きだった。
お近くに映画「ラッシュ/プライドと友情」の主人公のモデルとなったジェームス・ハントさんがお住まいだった。
「レーサーとしてあんなにご活躍されたのに今はオートマチックの車に乗っておられるのよ!」と秘密を明かすようにお友達が教えて下さった。桜が「サージェントチェリー」という品種だということもその方から教えて頂いた。
この季節になるとたたけば音のしそうな見事な碧い空をバックに何か月も誇るように咲き続けた英国の桜の強く美しい姿を想いタイムトリップしてしまう。

桜の季節になると心配が増える。雨が降ったり風が吹いたりすると花の事が気になり祈るような気持ちになってしまう。何の心配もなく見ることができる桜があればどんなに良いのだろうとずっと考えていた。英国に暮らして初めての春、桜を見て驚いた。何か月も咲き続ける強くたくましいかつて願った通りの桜なのだ。その頃毎週ウィンブルドンにフラワーアレンジを教えに行っていた。そこのお家の桜が私は大好きだった。お近くに映画「ラッシュ/プライドと友情」の主人公のモデルとなったジェームス・ハントさんがお住まいだった。「レーサーとしてあんなにご活躍されたのに今はオートマチックの車に乗っておられるのよ!」と秘密を明かすようにお友達が教えて下さった。桜が「サージェントチェリー」という品種だということもその方から教えて頂いた。
この季節になるとたたけば音のしそうな見事な碧い空をバックに何か月も誇るように咲き続けた英国の桜の強く美しい姿を想いタイムトリップしてしまう。

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ

幼いころ通っていた教会でもらった一枚のカード。そこに描かれていた「スミレのブーケ」それを自分の手で作ってみたいというのがアレンジを学びたいと願った原点だった。

布花のスクールで学んで作ったスミレ。しかし、それをブーケにするには「フラワーアレンジ」のテクニックが必要なことをそのころ初めて知る。

同じころロンドンに暮らしていた友人が「ヨーロッパで一番古いフラワーアレンジの学校が私の住む街にあるのよ」とパンフレットを送ってきてくれた。

真っ白で花の部分だけエンボス加工されたおしゃれなパンフレットに魅了され英国で学ぶことになった。

学校の授業でプリンスオブ・ウェールズという品種の香りのよいスミレでブーケを作った感動は30年近くたった今も心に残っている。街を歩くと頬が痛くなるようなクリスマス前のレッスンだった。

あれから30年。最初5名のスタッフでスタートしたフラワーボックスもすっかり大所帯になった。今年のオータムスクールにはそのころからご縁のあった花仲間がたくさんお越しくださる。あの頃学生だったのに小学生のお母さんになっている方。子連れで来られていたのに今ではお孫さんがあのころのお子様の年齢に近くなって来られた方・・・

今まで素敵な出会いに感謝してきたけれど今年のオータムスクールではその方々と再会できることを嬉しく思っている。ご縁があって出会えた花仲間お一人お一人にお伝えしたい。「出会ってくださって本当に有難う!」と

日英フラワーアレンジメント協会チェアーパースン かわべやすこ